深海のデータロギング始動

札幌市のコロナの状況が落ち着かないなか、SIAFラボの今年度のプロジェクトもなかなか動き始められない状況でしたが、感染防止対策を講じたうえでの屋外での活動のガイドラインを定め、ゆっくりですが活動を開始しました。

今年度、Extreme Data Logger & Radical Data Visualization プロジェクトでは、深海のデータロギングに挑戦します。

一般的に水深200メートル以上の海域を深海と呼びます。成層圏気球を3万メートルまで上げてきたことを考えると、200メートルなんてすぐそこのようにも思われますが、少し調べてみるとそう簡単に到達できないことが分かります。

1960年に、潜水艇トリエステにより、マリアナ海溝で記録された到達深度が、10,911メートルであるのに対し、1961年に、初の有人宇宙飛行を行ったボストーク1号の最高高度が、327,000メートルであることを考えると、深海到達がいかに難しいかが分かると思います。

深海は、高水圧・低水温・暗黒・低酸素状態といった過酷な環境条件のため、生身の人間では今の所到達できないため、その環境を知りたければ、データロガーを送り込むほかない、というわけです。

とはいえ、メンバーの誰も挑戦したことがないことですので、今年度はリサーチを中心に行っていけたらと考えています。

人類のいない世界の実在論が論じられ、ウイルス(人間でない者)によって引き起されたパンデミックの終息が見えない今、地球上でありながら、生身の人間が到達できない極限環境「深海」にDIYで挑み、そこでも可能な芸術/そこでしか不可能な芸術を考えることは、現代の芸術の意味を再考することとも言えるでしょう、というところで、まずは実験しながらその意味を考えていきたいと思います。

すでに幾つかの実験機材を手配し、フィールドに出る準備も進んでいますので、こちらのブログの更新頻度も上げていきたいと思います。